お子さんが幼稚園の年中クラスに進級すると、仲の良い子から手紙を交換する機会がぐっと増えてきますね。
そんな時に、「子供がまだひらがなを書くことが難しいのだけれど、どのように手紙のやり取りをさせたらいいか」と頭を抱える保護者の方々も少なくないでしょう。
読者の皆さんには、このコンテンツを通じて、下記のインサイトを得ていただきます。
- 年中や年長時期における子供のひらがなの読み書き能力の成熟度
- まだ文字を書けない子供のための手紙の返信法
- 手紙の返信に最適な時期
- 実際に起こった手紙のやり取りの問題事例
最終行に達するまでご覧になって、有益な情報を得ていただければ幸いです。
ひらがなの習得時期についての疑問
春のある日、息子さんが年中クラスにいた時のこと、彼は仲の良い友達から受け取った手紙を見せてくれました。その手紙には「またあそぼうね」とひらがなで気持ちをこめて書かれていました。
ところが、息子さん自身はひらがなのうちごく一部しか理解しておらず、自分の名前など数文字を読むことがやっとだったため、ひらがなをすでに書けている子に驚き、焦りを感じたと語っています。
この焦りを背景に、筆者は文部科学省のホームページで「文字・数・思考の育ち」に関するデータを調べたそうですが、その根拠となったのはベネッセ研究所の調査結果だったため、実際のところ筆者はその情報を完全には信用しておらず、リンクをあてにせず、別の方法を取りました。
そこで、以下では筆者の実体験にもとづく、幼稚園の年中組と年長組の読み書きに関するレベルを紹介します。ただし、これらの情報はあくまで特定の幼稚園の当時のレベルに基づいたものであることをご理解いただければと思います。
春季の年中児の多くは読解能力が低い状態である
春の時期に保育園で行われた面談の際、子供たちのひらがな習得について尋ねたところ、担任の先生は「大部分の児童はまだ読む力が育っていないため、特に心配する必要はありません」と助言してくださいました。
(※幼稚園や保育園によって、読み書きスキルの伸び幅には差があります)
もちろん、読むことができるり、文字を書くことができる子供たちも存在しています。
自身の子供が3月生まれであるため、他の子どもに比べて遅れをとらないかという心配が頭をよぎりました。
幼稚園児のひらがな習得度
私が幼稚園の先生を務めていた独身の頃、年長児を対象にしたひらがなの学習プログラムを実施していました。当時を振り返ると、圧倒的な割合で子供たちがひらがなを筆記できていたのが印象的です。約7~8割の子供がひらがなを書くことが可能でした。
具体的には、滑らかに筆記する子供が全体の20%、概ね正確に書くことができる子供が40%、時間を要するものの完成させる子供が20%、誤る子供が15%、そして全く書けない子供が5%といった具合でした。(※これは、当時の私のクラスの状況に基づいた話です)
確かに「む」や「ぬ」のような形が複雑な文字になると正確性は下がりましたが、子供たちは不平を言うことなく書き進めていました。絵本を読む場面で、大方の子供たちが単独で読み進めることができたのが80%程度。一部の子供は何文字か読むことができなかったものの、絵本を一字一句読むことができる子供が主流でした。
自分の名前を読むことができない子供は30人程度のクラスで1〜2人存在する程度でした。
幼児が平仮名を書くことができない際の対処法
子供が他人から受け取ったメッセージに対して文字を使って返信するのが難しい状況に直面した時に検討すべき、いくつかの解決策を提示します。子供の意向を確認しながらこれらの提案をご参照ください。
保育園によっては園児間での手紙交換を許可していないことがありますが、そのような状況では園のルールに従ってください。ここでのアドバイスは手紙のやりとりに問題がない場合の対応策としてご提供しております。
イラストレーションでのお返し
この手法では、子供にお気に入りのイラストを描いて頂き、それを贈り物として提供します。
イラストなら、子供たちは無理なく創造力を発揮できるため、直ちに反応を見せることができることでしょう。もし「ありがとうの手紙」など、添えたい一言がある場合は、保護者が代わりに書き込むとよいでしょう。
シールの安全な配布方法
シールのみの交換では「玩具」とみなされるリスクがあるため、手紙に添えてシールを送る方が望ましいです。シールを贈る行為が目撃された際、ほかの子供たちの関心を引き、意図しない問題へと発展する場合があります。
また、シールの携行を禁じている施設も存在するため、子供同士の間でシールをやり取りするのは避けるべきです。非常に渡したいシールがある際には、書簡に貼り付けて「手紙」として贈るか、親同士が揃っている時に手渡しすると、余計なトラブルを防ぐことが可能です。
レターデコレーションにスタンプを
文字通りの意味で、通信文には印章を捺すことにより応答を示す手法が存在します。 特に印字された内容を持つスタンプの場合、「感謝します」といった感謝の想いを代弁してくれるため便利です。 連続的に押しても、ステッカーとは違って消耗することがないため、補充する手間も省けます。
しかしながら、スタンプのサイズが小さすぎる場合には、白紙部分を満たすために相当な数を押さなくてはならないという問題もあります。
子供が親の筆跡をトレースして返信を作成
もし子供が自ら手紙を書く意欲を見せたら、それは平仮名の練習の好機です。保護者がまず手紙に平仮名を記し、子供がそれをトレースしながら一緒に手紙を作成するのが良いでしょう。
保議者の字を残したくない場合は、保護者が鉛筆で書き、子供にはペンを使用させて、インクが乾いたら消しゴムで保護者の文字を消去する方法もあります。
または、保護者が太い筆記具を用いて字を記し、その上に便箋を重ねて写し取る方法も考えられます。この際、細かな行間にこだわらず、子供が写しやすいように大きな字で書くことが大切です。
「感謝の言葉を口頭で伝える」
お相手のお子さんが、必ずしも返信を期待しているわけではなさそうです。提供された内容からは、特別な返信を求めているとは考えぶかく、ただ単純に心を込めたメッセージを書き記し、贈呈してくれたと受け取られます。
従って、書面での返事を特に用意しなくても、感謝の心を適切に伝えられていれば、それで十分です。お子さんに対して感謝の意がしっかりと伝わったかを確かめることが重要です。
手紙交換で返事を渡すタイミングは?
もし手紙を受け取り、返信する意思がある場合、適切なタイミングについては何時が良いのでしょうか。
子供がまだ記憶している間に速やかに返信を
ご自身の子供だけでなく、相手のお子さんも記憶している間に手紙を返すことを心掛けましょう。もしかすると、相手のお子さんは数多くのお友達に対して便りを書いている可能性があります。
子供たちがまだそれを覚えている間に返事を差し上げることによって、双方が喜びを感じながら文通を楽しめます。
親御さん自身も時間が経つと忘れがちになるため、記憶が新しいうちに返信することを推奨します。
休み明けは早めに手紙を渡しましょう
休日が間に入ってしまうと、いつ手紙を手渡すか迷うことがあります。そのような時は、休みが明けたらすぐに手紙を渡すことをおすすめします。逃したチャンスはつい後回しにされがちです。
これは特に親の心理で、子供にはそういった状況は気にならないものです。
「いつでも大丈夫」と思っていても、親としては「タイミングを逸してしまった」と感じてしまうことがあります。後々のもやもや感を避けるために、機会を見つけてすぐに渡すと良いでしょう。
実体験から学ぶ子どもの手紙にまつわる問題点
仲間内で共有された、ある子育て中の母親とその子が遭遇した通信のもつれの話です。
当事者は子供たちですが、この種類の事態に頭を抱えるのは大概、保護者の方々です。
友達の二人から届けられた手紙について考える
親しき仲の三人の子供たちがいるのですが、その中の一人からふたりへ向けて手紙が送られてきました。うちの子はまだ平仮名の筆記ができない状態で、どのように対応したら良いか悩んでいたところ、続けざまに残る一人の子からも二人宛の手紙が届けられました。
これに返信しなければと思いましたが、ちょうどそのとき子供の体調が崩れてしまい、気がつけばお盆休みに突入してしまいました。返信すべきか悩みつつ、時期を逸してしまった感がありますが、二人からの手紙に対し、うちの子だけが手紙を送っていない状況に心を痛めています。
特に、グループ内で自身の子供だけが手紙を交わしていないことにいらだちを感じます。平穏な休日に手紙の事を思い出してしまい、不快な思いを抱えてしまっているのは時間の無駄です。
おくれてしまったからと言って手紙を送らない選択をすると、過去に戻っては「やはり送信すればよかったのではないか」と悩んでしまうことでしょう。
見逃したタイミングに後悔したとしても、返信をすることで精神的な晴れやかさが得られるかもしれませんね。
園で禁じられている手紙交換についての悩み
私の子供が通う保育園では、生徒間での手紙のやり取りが許されていないにもかかわらず、私の子供が友達から手紙をもらって家に持ち帰ってしまいました。
子供はその手紙に回答を書いて相手に渡したいと願っていますが、園の規則に反してそれを許可することに私は躊躇しています。直接手渡しを考えましたが、残念ながらその子はスクールバスを利用しているため私とは会えません。
結局、園のルールは間違っていると認識しつつも、回答を書いた手紙を子供に持たせることにしました。しかし、この判断が適切だったのか自問しています。
我々親が「園の規則に反してはいけない」と言いながら、その規則を破る行動を見せたのは子供にとって混乱を招かないか、と心配に思っています。
すでに手紙を渡してしまったならば、子供に「園の規則に反して手紙を渡すべきではなかった。誤ったことだったよ」と正直に話し、親も過ちを犯すことがあることを伝えながら、ルールを守るべきだということをしっかりと理解させる必要があります。
友人の行動に寂しさを感じる時
子供がひらがなを書ける状況にはまだ達していないという話をしたばかりなのに、友人のお子さんからひらがなで書かれた便りを受け取ったんです。一瞬、「これって自慢されてる?」と感じてしまいました。明かに私が「書けない」と話した後ですからね。
しかし、小さな子供にそんな意図はないでしょうし、恐らく我が子を気に入ってくれたからこそ、自分の手でメッセージを書いてくれたのでしょうと割り切ることにしました。そうしたら、ふと自身の子にたいして不安になったり、自信が持てずにいることに気づかされました。
他人の行動をマウントだと受け取ってしまう感覚、私も経験があります。ひらがなをマスターしていない我が子について話したときにも、他の母親と「絶対にそうよね」と意見が一致したことがあるのです。だから、そう感じるのはあなただけではないんですよ。
ですが、子供自身が読み書きを学ぶことにより、そうした負の感情もきっと解消されるはずです。
子供が文字を楽しむためのコツ
まだひらがなを書けない小さな子が、友だちからの手紙を受け取った時、次のような返信の方法を試してみると良いでしょう。
- 色鉛筆やクレヨンを使って絵を描いて答える
- 楽しいシールを選んでペタペタと貼って送る
- インクでたっぷりとスタンプを使って返す
- 親が書いた文字を上からなぞってみる
- 言葉で「ありがとう」と感謝を伝える
手紙交換を経て、ひらがなへの好奇心がわいてきたのなら、それをきっかけにひらがな練習を始めてみませんか。もし、ひらがなを書くことに挑戦したいけれど難しさを感じている場合には、進研ゼミやスマイルゼミのような学習教材で練習することをお勧めします。
わが家の場合は、子供が「教わる」ことに興味を示さないため、「教える」のではなく、子供が自らひらがなに関心を持ったときにさりげなくサポートし、焦らずに学ぶことができるよう努めています。