「新幹線って特急の一種なの?」「特急券と新幹線特急券って何が違うの?」そんな疑問を持ったことはありませんか。
実はこの2つ、どちらも“速い列車”であることに変わりはありませんが、走る線路や法的な定義、料金体系、そして利用目的まで大きく異なります。
本記事では、鉄道に詳しくない方でもすぐに理解できるように、新幹線と特急の違いを「速度・線路・料金・目的」の4つの視点から徹底比較。
この記事を読めば、自分の旅や出張に最適な列車がすぐに選べるようになります。
旅行を快適に、出張をスマートにしたい方は、ぜひこの完全ガイドをチェックしてみてください。
新幹線と特急の違いを一言で言うと?

新幹線と特急はどちらも速い列車ですが、実は「走る線路」と「法律上の位置づけ」がまったく違います。
まずは、それぞれの定義や意味をしっかり整理して、混乱しやすい「新幹線は特急なの?」という疑問をすっきり解消していきましょう。
まず「特急」とはどんな列車?
特急(特別急行列車)とは、在来線(通常の線路)を走る列車の中で、停車駅を絞り込み、速達性を重視して運行される列車のことです。
法的には「鉄道営業法」に基づき、普通列車や快速列車よりも高い料金を支払うことで利用できる列車と定義されています。
つまり、特急は「お金を払って早く目的地に行く」仕組みを持った在来線列車というわけです。
以下の表は、特急列車の基本的な特徴をまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運行路線 | 在来線(通常の鉄道路線) |
| 最高速度 | おおむね100〜130km/h |
| 停車駅 | 主要駅のみ(地域や観光地を結ぶ) |
| 目的 | 地域間の速達輸送・観光アクセス |
特急は「地域と地域を結ぶ、ちょっと特別な速い列車」と覚えておくとわかりやすいです。
「新幹線」は特急の一種?法的な定義をわかりやすく解説
実は、新幹線も広い意味では「特別急行列車(特急)」の一種です。
ただし、新幹線は「全国新幹線鉄道整備法」に基づく高速鉄道として定義され、在来線とは完全に異なる仕組みで運営されています。
つまり、分類上は特急に含まれますが、法的にも運用面でも別枠扱いなのです。
| 項目 | 新幹線 | 在来線特急 |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 全国新幹線鉄道整備法による「高速鉄道」 | 鉄道営業法による「特別急行列車」 |
| 線路の種類 | 新幹線専用線(標準軌1,435mm) | 在来線(狭軌1,067mm) |
| 最高速度 | 260〜320km/h | 100〜130km/h |
つまり、「特急の上位版」が新幹線という関係になります。
新幹線は法律上のカテゴリーが異なるため、同じ「特急料金」といっても実際には体系が別で、切符も異なるのです。
新幹線と特急の走る線路・速度・目的の違い
次に、新幹線と特急の「走る場所」と「目的」の違いを詳しく見ていきましょう。
この違いが、速度・安全性・運賃などあらゆる面に影響しています。
専用線路と在来線の違いが生むスピード差
新幹線は専用の高速線路(新幹線鉄道)を走行します。
線路幅(軌間)は1,435mmの標準軌で、カーブが緩やかに設計され、踏切も一切ありません。
これにより、最高速度は260〜320km/hという圧倒的な速さを実現しています。
一方、特急列車は在来線を走ります。
在来線は1,067mmの狭軌で、カーブや勾配、踏切が多く、安全上の理由から速度制限がかかります。
そのため、最高速度は100〜130km/h程度に抑えられています。
| 項目 | 新幹線 | 特急 |
|---|---|---|
| 線路幅 | 1,435mm(標準軌) | 1,067mm(狭軌) |
| 踏切 | なし | あり |
| 最高速度 | 260〜320km/h | 100〜130km/h |
この差が、移動時間の圧倒的な違いを生み出します。
たとえば、東京〜新大阪間を新幹線では約2時間半、特急では10時間以上かかることもあります。
「線路が違えば、速度も違う」というのが、新幹線と特急の根本的なポイントです。
どんなときに特急を選ぶべき?
特急は、新幹線が通らない地域や観光地へのアクセスで大きな役割を果たします。
たとえば、新宿から松本へ向かう「あずさ」や、名古屋から高山へ行く「ひだ」など、地域密着型の速達列車です。
移動時間は少し長くても、景色を楽しんだり、途中の駅で観光地に立ち寄れるのが魅力です。
| 選ぶ基準 | おすすめ列車 |
|---|---|
| とにかく早く目的地に着きたい | 新幹線 |
| 観光や途中下車を楽しみたい | 特急 |
| 地方の観光地や温泉地に行きたい | 特急(在来線) |
時間を買うなら新幹線、旅を楽しむなら特急という考え方がベストです。
停車駅・運行エリアで見る新幹線と特急の特徴

新幹線と特急は、どちらも「速達性」を重視していますが、停車駅の選び方や運行エリアの広さが大きく異なります。
ここでは、両者の役割の違いを、停車駅の仕組みから具体的に見ていきましょう。
新幹線の停車駅の仕組みとパターン
新幹線は、都市と都市を高速で結ぶことを目的に設計されています。
停車駅は、東京・新大阪・博多といった大都市や、地方の拠点都市に限られています。
例えば、東海道新幹線では「のぞみ」「ひかり」「こだま」という3種類の運行パターンがあり、それぞれ停車駅が異なります。
| 列車の種類 | 停車駅の特徴 | 利用の目安 |
|---|---|---|
| のぞみ | 主要都市のみ停車(最速) | とにかく早く移動したい人 |
| ひかり | 主要駅+一部地方都市 | 時間と利便性のバランスを取りたい人 |
| こだま | すべての駅に停車 | ゆったり旅したい人や短距離移動 |
このように、新幹線は「停車駅のパターンを変えることで、速さと利便性を両立」しています。
特急列車が地域に欠かせない理由
特急は、在来線を利用して地域と地域をつなぐ交通の要です。
新幹線が通らないエリアでは、特急が地域の中心都市と観光地を結ぶ役割を担います。
たとえば、東京から伊豆の温泉地へ向かう「踊り子」や、関西から白浜へ行く「くろしお」などがその代表例です。
| 特急列車 | 運行区間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 踊り子 | 東京〜伊豆急下田 | 温泉地へのアクセスに最適 |
| あずさ | 新宿〜松本 | 山岳観光・登山客に人気 |
| くろしお | 新大阪〜白浜 | 海沿いを走る絶景路線 |
特急は「新幹線が届かない場所への橋渡し」という重要な役割を担っているのです。
料金と切符の違いを完全解説
次に、新幹線と特急の料金や切符の仕組みを詳しく見ていきましょう。
「特急券」と「新幹線特急券」の違いを理解すると、無駄なくお得に移動できるようになります。
乗車券・特急券・新幹線特急券の関係
列車に乗るには、まず「乗車券」が必要です。
乗車券は、目的地までの距離に応じた基本運賃を支払うもので、普通列車・特急・新幹線のどれを利用しても共通です。
これに加えて、速達列車である特急や新幹線に乗る際は「特急料金」が必要になります。
| 券の種類 | 目的 | 備考 |
|---|---|---|
| 乗車券 | 区間移動の基本料金 | すべての列車で共通 |
| 特急券 | 在来線特急を利用する際の追加料金 | 特急料金が含まれる |
| 新幹線特急券 | 新幹線利用時の追加料金 | 速達列車や季節により変動あり |
新幹線特急券だけでは乗れないという点にも注意が必要です。
必ず「乗車券+新幹線特急券」の2枚をセットで持つ必要があります。
自由席・指定席・グリーン車・グランクラスの違い
新幹線と特急には、複数の座席クラスがあり、料金や快適性が異なります。
以下の表で、特徴を整理してみましょう。
| 座席種別 | 特徴 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 自由席 | 座席が保証されないが安価 | 最も安い |
| 指定席 | 座席を予約できる。確実に座れる | +数百円 |
| グリーン車 | ゆったりとした座席・静かな環境 | +数千円 |
| グランクラス | 軽食・ドリンク付きの最上級クラス | +1万円前後 |
「快適性を買う」のが特急料金の本質です。
目的や移動時間に応じて、最適な座席を選びましょう。
割引制度とお得な買い方
新幹線と特急には、さまざまな割引制度があります。
特にオンライン予約サービスを使うことで、正規料金よりも安く利用できることがあります。
| 割引制度 | 内容 | 対象列車 |
|---|---|---|
| 早特・トクだ値 | 事前予約で特急料金を割引 | 主に新幹線 |
| 往復割引 | 601km以上の往復で乗車券が1割引 | 新幹線・特急共通 |
| フリーパス・企画きっぷ | 観光地向けのセット券や期間限定きっぷ | 在来線特急が中心 |
また、JR各社が提供する「えきねっと」や「EXサービス」を利用すれば、紙の切符を発券せずにスマホで乗車できるチケットレス乗車が可能です。
このようなサービスを活用すれば、手間を減らしつつ費用も節約できます。
「早めの予約」と「チケットレス化」が賢い鉄道旅のコツです。
利用シーン別のおすすめ選択法

新幹線と特急、どちらを選ぶべきかは「移動の目的」によって変わります。
ここでは、旅行・出張・家族旅行などの目的別に、最適な列車の選び方を整理してみましょう。
旅行・出張・家族旅行など目的別の選び方
移動時間を短縮したい人には新幹線が最適です。
一方で、地域の景色を楽しみたい人や、ゆったりした時間を過ごしたい人には特急の魅力があります。
次の表で、代表的なシーン別にどちらが向いているかを比較してみましょう。
| 目的 | おすすめ列車 | 理由 |
|---|---|---|
| ビジネス・出張 | 新幹線 | 速達性と定時性が高く、Wi-Fiや電源も完備 |
| 長距離旅行 | 新幹線 | 身体的負担が少なく、設備が充実 |
| 温泉・観光旅行 | 特急 | 観光地の玄関口まで直通でアクセスが良い |
| 家族旅行 | 新幹線 | スペースが広く、子連れでも安心 |
| 鉄道の旅を楽しみたい | 特急 | 地域ごとの車窓や車両デザインを楽しめる |
「時間を優先するなら新幹線、体験を重視するなら特急」という考え方が選び方の基本です。
新幹線が有利なケース/特急が便利なケース
単純に「速い=新幹線」とは限りません。
たとえば、新幹線と特急が並行して走る区間では、料金差と所要時間のバランスで選ぶのがコツです。
| 状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 300km以上の移動 | 新幹線 | 圧倒的な速さと快適性がコスパに優れる |
| 100〜200km程度の移動 | 特急 | 料金が安く、風景も楽しめる |
| 新幹線駅がない目的地 | 特急 | 観光地直結で乗り換えが少ない |
| 天候に左右されたくない | 新幹線 | 専用線路のため運行の安定性が高い |
距離・目的・快適性の3点で比較すると、最適な選択が見えてきます。
快適性・設備・サービスを比較する
列車を選ぶ際に重要なのが「車内環境とサービス」です。
ここでは、新幹線と特急の設備・サービスの違いをわかりやすく整理します。
車内設備・Wi-Fi・電源・静かさの違い
新幹線は、最新車両では全席にコンセントが設置され、ほとんどの列車で無料Wi-Fiが利用可能です。
また、踏切がなく線路の状態も安定しているため、走行音が静かで揺れも少なく、長時間でも疲れにくいのが特徴です。
一方、特急は車両によって設備の差があります。
新型車両(例:E353系「あずさ」、E261系「サフィール踊り子」)ではWi-Fiや電源が整備されていますが、旧型車両では未対応の場合もあります。
| 項目 | 新幹線 | 特急 |
|---|---|---|
| Wi-Fi | ほぼ全列車に完備 | 新型車両中心に対応 |
| コンセント | 全席または窓側に設置 | 一部車両のみ設置 |
| 静粛性 | 非常に高い | 路線条件により変動 |
| 揺れ | 少ない | 区間によりやや多め |
「集中して仕事をしたい人」は新幹線、「旅を味わいたい人」は特急が向いています。
観光特急や豪華列車など「乗る楽しみ」がある特急も
特急の魅力は「移動そのものを楽しめる」点にあります。
JR九州の「ゆふいんの森」や、近鉄「しまかぜ」など、車内そのものが観光体験となる列車も多く存在します。
| 列車名 | 特徴 | 運行エリア |
|---|---|---|
| ゆふいんの森 | 木製インテリアと展望ラウンジが魅力 | 博多〜由布院 |
| しまかぜ | カフェ・個室付きの豪華仕様 | 大阪・京都・名古屋〜伊勢志摩 |
| サフィール踊り子 | 全車グリーン車の観光リゾート列車 | 東京〜伊豆急下田 |
このような観光特急は、単なる交通手段ではなく「目的地へ行くまでが旅」という体験を提供しています。
新幹線が効率の象徴なら、特急は旅情の象徴とも言えるでしょう。
JR各社・私鉄の新幹線・特急の個性を知る

新幹線や特急は、運営する鉄道会社によって個性や特徴が大きく異なります。
ここでは、JR各社と主要私鉄の特色を整理し、それぞれの得意分野をわかりやすく紹介します。
JR東日本・西日本・九州の特徴
JR東日本は、首都圏を中心に東北・上越・北陸・秋田・山形方面をカバーしています。
積雪や寒冷地への対応に優れており、冬季でも安定した運行を維持しています。
特に「山形新幹線」「秋田新幹線」は在来線を改良したミニ新幹線で、新幹線車両が在来線区間を走行するユニークな仕組みです。
JR西日本は、東海道新幹線と直結する山陽新幹線を中心に運行しています。
関西や中国地方の観光地(白浜、出雲、金沢など)への特急が充実しており、「くろしお」「やくも」「サンダーバード」などが代表格です。
JR九州は、特急のデザイン性と快適性で国内外から高い評価を受けています。
「ゆふいんの森」や「A列車で行こう」といった観光特急のほか、「ななつ星in九州」のような豪華寝台列車も有名です。
| 会社 | 代表的な新幹線 | 代表的な特急 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| JR東日本 | はやぶさ・かがやき | あずさ・ひたち・サフィール踊り子 | 最新技術と雪への強さ |
| JR西日本 | のぞみ・みずほ | くろしお・やくも・サンダーバード | 西日本全域の観光ネットワーク |
| JR九州 | つばめ・みずほ | ゆふいんの森・A列車で行こう | デザイン性と「旅の楽しさ」 |
同じ「特急」でも、地域によってコンセプトや体験がまったく異なります。
小田急・近鉄・東武など私鉄特急の魅力
私鉄各社も、独自の特急サービスを展開しています。
私鉄特急は、新幹線より安価で、観光地直通のルートを持つのが強みです。
| 私鉄 | 代表的な特急 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小田急電鉄 | ロマンスカー(GSE/VSE) | 展望席と景観を楽しむデザイン列車 |
| 近鉄 | しまかぜ・アーバンライナー | カフェや個室を備えた豪華仕様 |
| 東武鉄道 | スペーシア・リバティ | 浅草・新宿から日光・鬼怒川へ直通 |
| 南海電鉄 | ラピート | 関西空港アクセス特急。近未来的デザイン |
私鉄の特急は、「気軽に乗れる小旅行」として人気があります。
切符の購入方法もシンプルで、スマホアプリや駅券売機で簡単に購入できるのも特徴です。
JRが「速さ」を追求するなら、私鉄は「楽しさと手軽さ」を重視しています。
まとめ:あなたに最適な列車はどっち?
ここまで、新幹線と特急の違いを、速度・線路・料金・目的の観点から解説してきました。
最後に、要点を整理しながら、自分に合った列車を選ぶためのヒントをまとめます。
新幹線と特急の違いを整理
2つの列車の根本的な違いを、簡単な表で振り返りましょう。
| 項目 | 新幹線 | 特急 |
|---|---|---|
| 走る線路 | 新幹線専用線(標準軌) | 在来線(狭軌) |
| 最高速度 | 260〜320km/h | 100〜130km/h |
| 主な目的 | 都市間の高速輸送 | 地域間・観光輸送 |
| 料金体系 | 乗車券+新幹線特急券 | 乗車券+特急券 |
| 代表的な利用者 | ビジネス・長距離旅行 | 観光・地域移動 |
法律上は同じ「特別急行列車」でも、目的と仕組みがまったく異なることがわかります。
目的別に見るベストな選択のポイント
どちらを選ぶか迷ったら、「時間」「距離」「体験」の3つの視点で考えるのがコツです。
| 重視するポイント | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 時間・効率 | 新幹線 | 速くて定時性が高い |
| 料金 | 特急 | 比較的安く、短中距離に向く |
| 景色・旅情 | 特急 | 地域の風景や観光を楽しめる |
| 快適性・設備 | 新幹線 | Wi-Fiや静粛性、広い座席が魅力 |
「時間を買う」なら新幹線、「旅を味わう」なら特急。
この違いを理解して選べば、移動時間そのものがより充実した体験になります。
次に旅行や出張を計画するときは、この記事の内容を思い出して、自分にぴったりの列車を選んでください。

